日本の拠点空港候補4空港は、いずれも国際線と国内線が共に運航されている。
しかし、拠点空港になるためには、その空港に国際線と国内線の多くの路線が集まることが必要とされている。まずは、国内線について分析する。4空港のうち国内線の路線数が豊富なのは、羽田空港である。2011年度の国内航空旅客数合計7905万人のうち、羽田便利用者は5258万人で、国内旅客の約7割を羽田利用者で占めている。また、2012年度路線別輸送実績の上位20路線のうち、15の路線が羽田を結ぶ路線であった。路線数においても、羽田は国内45の空港と結ばれていて、成田は国内16、関空は国内12、中部は国内18の空港と結ばれていることを比べると、羽田の国内線の路線数は圧倒的に多いといえる。
しかし、成田、関空ではLCCの就航が増加し、LCC専用ターミナルが関空には2012年秋に完成し、成田にも2014年度に完成される予定で、LCCの国内線の需要の増加が期待される。一方、国際線に限っていえば、成田空港の輸送実績が他の3空港と比べて高い。しかし、成田は1本しかない4000m級の滑走路、24時間運用ができないといった問題から、発着枠に余裕がない。その弱点を補う形で開港された関空や中部も高い着陸料により、便数の減少が続いている。ところが、羽田は2010年のD滑走路と新国際線ターミナル完成以降、国際線の便数は増加傾向にあり、2014年3月末から国際線ターミナルが拡張されると同時に、日系航空会社の羽田発着の国際線は1日当たり26路線から42路線に拡大する予定である。また、羽田の国際線旅客数も順調に増加し、2014年3月期には802万人と成田の4分の1の水準に達する見込みである。
日本の拠点空港候補4空港の中で、アジアの拠点空港として機能できる日本の国際空港は羽田空港だ、というのが個人的な見解である。しかし、羽田空港が日本の拠点空港として機能するための課題がある。発着枠の拡大に向けた設備面の拡充や飛行ルートの見直しだ。国土交通省は発着枠の拡大に向けて、需要の減った国内線の発着枠の一部を国際線用に振り替えたり、5本目の滑走路や新たなターミナルビルをつくったりする案が出ているが、設備面での拡充では財源の工面が課題である。投資額が膨らむと、着陸料に跳ね返り、空港の競争力を逆に損なうことに留意する必要があるからだ。飛行ルートの見直しについては、東京上空の飛行を解禁する案も議論する可能性があるが、新たな騒音問題の浮上も考えられ、近隣自治体などとの合意形成が不可欠になる。設備面や財源面などの課題の克服によって、羽田の発着枠が拡大され、乗客が利用しやすい設備が整い、都心とのアクセスも整備されれば、羽田空港がアジアの拠点空港として機能し、日本の空の玄関口としても機能できると考えられる。